【TK診療室 4】退行様症状を心配されているご両親へ

こちらTK診療室

 

ダウン症候群を持つ方で退行様症状を含む日常生活能力低下を心配されているご両親へ

 

人間誰にでも良い状況の時も良くない状況の時もあります。私もみさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家で診療を始めて10年過ぎました。現在400名位のダウン症児・者の診療をさせていただいています。その中で、上記のことでご心配になられて来院される方も少なくありません。ご心配なことと思いますが、以下のことにご留意下さい。

 

(1) 命にかかわることがほとんどありませんので、先ずはご家族も意識して落ち着かれるようにしましょう。

(2) 近くの病院(行きつけの病院など)で、通常の採血などをご検討下さい。特に通常の生化学的な検査(肝機能や腎機能など)や血糖などは重要です。何か異常値があれば、それについての対処をご検討いただければと思います。頭部CTも問題がないと確認していただければより良いです。ただ、状況が悪くなると病院に行くことさえも難しかったり、採血も非常に困難を伴うこともあります。その場合は無理をする必要はありません。

(3) その上で、みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家にご相談ください。

 

実際に診療をしてみて思ったことがあります。ダウン症者は何かがあった時の心因反応でさえ、非常に深刻な日常生活上の支障をきたすことがあるようです。逆に、本人の心の折り合いがつくとお薬を使わなくても自然にもとに戻ることもあります。この悪くなる時も良くなる時も両親を含め、何か原因なのかがよく分からないこともあります。と言うことは、どうしたら良いかが分かりづらいということにもなります。更に困ったことに、お薬を使用した方が良いDS者も精神的にそのうちにもとに戻るDS者も表に出る症状は見分けがつかないように思います。また、そのうちに戻るかも知れないし戻らないかもしれないと将来が見えにくいことも少なくありません。薬剤の効果と言うより薬を服用するという行為そのものが心の折り合いをつけるのに何らかの役に立っているように思える方もいます。一緒に考えていくようにしましょう。

大丈夫です。何とかなります。きっと、あの時はきつかったけど、何とか乗り越えることができたと思えるようになると信じています。

 

2019年5月12日