6. (サブ)スペシャリティーとコーディネート(n)

(サブ)スペシャリティーとコーディネート(今回の日本小児科学会総合シンポジウムを終えて考えたこと)

 

今年4月19日(金)に総合シンポジウム1(多臓器に病変を有する希少疾患の成人期移行)に出席してきました。その時に私なりに考えたことを少し整理したいと思います。

医師にはスペシャリティーとサブスペシャリティーというのに多くが関係していると思います。私の場合はスペシャリティーが小児科、サブスペシャリティーが臨床遺伝と言う感じです(小児科の中でもサブスペシャリティーは小児循環器、小児神経、新生児、血液・腫瘍、アレルギー、膠原病、発達、小児精神、感染症などなどたくさんあります)。多くの医師にとって、このスペシャリティー、サブスペシャリティーを極めることが医師のアイデンティティーになっていますし、それぞれの領域の専門医という称号を得ることが今後の医師生活に大きな影響を与えます。おそらく、これが医師活動の中心になっていると思います。

一方、成人期移行を含む多臓器に病変を持つ方々のトータルケアという立場ではコーディネートが大きな意味を持ちます。多分、このコーディネートが医師個々人にとっても医学会にとってもスペシャリティー、サブスペシャリティーより理解度や優先順位が非常に低いことが、なかなかうまく行っていない根本原因の様に思えます。コーディネートを進めて実際に専門医を取得できたり、医師間で評価につながるということが乏しいという印象がぬぐえないし、コーディネートそのものは誰にでもできるという印象があるのかも知れません。

多臓器に病変を有する患者およびご家族にとってみては医師への期待はなんでしょうか?個人的には、スペシャリティー・サブスペシャリティーとコーディネートのバランスが非常に重要と思います。ただ、現在の健康状況に関わるのかも知れません。命に直結する状況、または治療の善し悪しが直接今後の人生設計に係るものであれば、当然、当該状況に関わる医師のスペシャリティー、サブスペシャリティーが優先されるものと思います。○○が専門という医師を頼るのは当然と思います。これは医師にしかできにくいところであるため、研鑽を積んでいくことが医師の職務として最も重要とされるゆえんかも知れません。家族であれ誰であれ、上手にスペシャリティ・サブスペシャリティーの医師につないでいければ(コーディネーションされれば)後は今の医療で何とかなっていくものかも知れません。診療科特有のスペシャリティ・サブスペシャリティーについて一つの医療機関内でほぼ全ての診療科と各診療科内である程度のスペシャリティ・サブスペシャリティーの医師がいるところでは一か所で完結しての診療は理論的には可能です。これについては医療コーディネーターという存在があればよりスムーズかも知れません。医療コーディネーターとしての役割を果たす部署としては、総合診療科や遺伝性疾患であれば遺伝診療部などがあるのかも知れません。

一方、患者・ご家族は、今後のこと、例えば親亡き後のことなどに思いをはせることが多いかも知れません。ここには、医療もそうですが、福祉なども大きく関係してきます。これには、コーディネーションは関係しますが、医師のスペシャリティー、サブスペシャリティーとしての重要性はケースバイケースということなのかも知れません。そもそもこのコーディネートを中心的に考えることを医師がしないといけないのかという問題も出てきそうです。福祉コーディネーターが医療コーディネーターと協力して行っていければ良さそうに思えます。又は総合コーディネーターとも言うべき方がいればとも思います。もしかしたら、保健所や役所などにそのようなシステムが既にあるのかも知れません。

システムとしてはこのような感じかなと思いますが、問題はその質の担保です。医師のスペシャリティ・サブスペシャリティーも様々ですし、同じスペシャリティ・サブスペシャリティーといっても医師によって大きな隔たりがあるように思います。そのため、コーディネーターが単純に同じ範疇のスペシャリティ・サブスペシャリティーの医師につないだものの、それで十分だったのかという問題も出てきそうです。

このようなことを今回のシンポジウムで考えさせられました。

私自身は、自分で言うのも恥ずかしいのですが、上記では総合コーディネーターを目指してやってきました。しかし、よくよく考えてみるとこれは医師の仕事なのか分からなくなってきました。より良い総合コーディネーターになるためにはものすごいエネルギーが必要です。これを誰かにゆだねるとなると、ゆだねられた人(医師?)にとっても良いことなのかなあと考えてしまいます。

この件については、その方向性について皆様のご意見を賜りたく存じます。バンビの会の皆様は、医療に何を期待されますでしょうか?支部などで一度話し合ってみていただけますと幸いです。