こどものリハビリテーションについて

染色体に変異がある場合、発達の遅れや偏りがみられることがあり、発達を伸ばしたり、生活の中での困難を減らしたりするためのリハビリテーションを勧められることがあります。その主なものについて説明します。

主に医療として病院で受けられる療法

理学療法

運動発達の遅れや運動障害のあるお子さんに対して、必要な粗大運動能力(姿勢変換、姿勢保持、移動など)の向上を目指した訓練を行います。また重度の運動障害を持つお子さんに対しては、変形予防などの姿勢ケアや呼吸訓練も行います。

作業療法

発達の遅れや偏りのあるお子さんに対して、様々な作業活動を通して、日常生活動作や遊び、運動、学習、社会的行動などに必要な能力の向上を目指した訓練を行います。

言語聴覚療法

言語発達の遅れや偏りのあるお子さんに対して、言語の理解や表出、構音、コミュニケーションなどの向上を目指した訓練を行います。また摂食・嚥下機能に問題のあるお子さんに対して、評価や訓練を行います。

主に福祉として地域で受けられる療法

(児童発達支援センター、障害児通所支援事業所など)

集団療育

発達の遅れや集団適応の困難さのあるお子さんに対して、幼稚園保育園などよりも少人数のグループで療育を行います。発達促進に加えて、他児とのコミュニケーション能力の向上や、集団活動のルール理解の促進などにより、集団適応力の向上を目指します。また似た悩みを抱える保護者同士の交流の場にもなります。

その子に今どのリハビリテーションが必要なのか、ご家族のここを伸ばしたいという希望を元に、専門家と相談してください。たとえば言葉がでないというと言語訓練をイメージしますが、発達の状況によっては、まずは遊びを通して要求をだすことや、コミュニケーション意欲を高めましょうということで、作業療法や集団療育を勧められることもあります。
こどもはリハビリテーション室で発達するのではなく、当然日々の生活の中で発達していきますので、リハビリテーションというのはリハビリテーション室で完結するものではありません。リハビリテーションの場で現状の確認、次の目標の設定、それに向けての取り組み方を教えてもらい、生活の中で取り組んでいくという意識が重要だと思われます。
リハビリテーションは、最終的にはお子さんとそのご家族の幸せな生活に結びつくものであるべきです。そういう意味ではリハビリテーションに通うことが日々の生活にとって過度の負担になるという事態は避けるべきだろうと思われます。お子さんの状態はもちろん、住んでいる地域や家庭環境なども様々ですので、リハビリテーションの体制というのは、その子その子、その時期その時期に、オーダーメイドで決めていくものになります。