パタカラプラスQ&A

パタカラプラス  Q and A

前回、2020 年 7 月 6 日のお知らせに「パタカラプラス」につきまして報告しました。それから 2 年 8か月が過ぎましたが、検討を継続しています。今回、Q and A という形で、現状をご報告します。

2023年3月4日

「パタカラプラス」とは何か?
本企画は「パタカラ体操」から始まっています。パタカラ体操は口腔機能訓練で小児では (1) 発音がハッキリする、(2) 噛む力、飲み込む力が鍛えられる、(3)口呼吸が鼻呼吸になり、口中の乾燥を防ぐ、老齢者では (1) 咀嚼(噛む)、嚥下(飲み込む)機能が維持、向上する、(2) 唾液の分泌が促進される(ドライマウスの防止)、(3) いびきや歯ぎしりが改善される、(4) 発音がはっきりし、口が動きやすくなる、(5) 入れ歯が安定する、(6) 口呼吸から鼻呼吸になり、口臭が改善される、(7) 小顔効果や顔のたるみなどのアンチエイジングに良い、などと様々なことが言われています。しかし、その出展や医学的な検証については、日常生活上、パタカラ体操以外でもいろいろな行動などが入り込むため、その評価を独立的に客観的に確認することが難しいということが関係してか非常に限定されているのが現状のようです。このパタカラ体操に、何らかの運動機能改善を目指しての体操(ダンス)を加え、IT機能を駆使して自動評価できるようなトータルシステムの確立を考えています。当初は、「パタカラ・トレーニング・ミュージック」などいろいろと候補に名がったのですが、最終的に「パタカラ」にいろいろな付加価値をつけるということで「パタカラプラス」に落ち着きました。

 

何故、「パタカラプラス」を思いついたのか?
私自身、小児科医で臨床遺伝という分野を専門にしています。聞きなれないと思いますが、何らかの先天性疾患でハンディを負われたお子様をそのご家族と一緒に医療、療育、教育、福祉などの面から支援していくような仕事です。現在の、みさかえの園総合発達医療福祉センターで総合発達外来の「遺伝性疾患」のある方々を中止に担当させていただいていますが、この外来は年齢、障害種に関係なく、少なくとも窓口になろうとする外来です。平成20年から正式に始まったのですが、そこで成人の方々がどのようなことでお困り化などについても知ることが出来ました。現在、私の外来での年間延べ患者数は約1600名程度で長崎県在住が75%、佐賀県在住が15%、福岡県在住が8%、それ以外が2%程度です。成人の方と未成年の方が約半数ずつ来院されています。ダウン症候群を持つ方々だけでも、450名余りがお出でになっています。

長崎県内のダウン症をお持ちのお子様の多くは、生後6か月ぐらいから、早く歩けるように、日常生活を送るにあたり困らないように、コミュニケーションがより上手にとれるようになどの目的でリハビリテーションを行います。ただ、リハビリテーション施設のマンパワー的な問題や患者・家族の生活環境の多様化によるリハビリテーションを定期的に行う上での制限などの問題があるのか、小学校就学前後の6,7歳でリハビリが終了になっている話をよくお聞きします。しかし、特殊教育が入ってきても、特にコミュニケーションの問題などはそのまま残っている方も少なくありません。このような状況を目のあたりにして、何か、自宅などで自由な時間を使って、楽しく歌って踊ることで何かしらトレーニングのようなものができれば、多くの方に意義深いのではと思い始めました。実施には2020年1月から本格的に検討を重ね、本企画にご賛同いただいた様々な専門家にご協力をいただき、動き始めました。

 

「パタカラプラス」の主要メンバーは?

「パタカラプラス」は大きく2つのグループから成り立っています。1つはコンテンツ作成グループです。リハビリのような意味合いを持つために、当センターの言語聴覚士、理学療法士、作業療法士の先生方のご意見を参考にし、作詞作曲をされています松本公義先生、ダンスの振付を山口邦子先生、伴奏・歌・アニメーション及びYouTubeにアップしていただくことをレインボーミュージックの皆様が所属しているナナイロプロダクションにお願いしています。事務的なことを、バンビの会(染色体障害児・者を支える会)と長崎大学原研遺伝の三嶋博之先生に担っていただいています。私はその総括のようなことをさせていただいています。もう1つは、評価グループです。これは、折角、私共が提供するコンテンツをご利用されるにあたり、ある程度、評価ができるものが必要ではないかとの思いで開発を進めています。ご家族の携帯電話などで、人工知能を使用しての評価アプリを日本大学文理学部の北原先生、尾上先生、口腔機能を神奈川歯科大学の小松先生、李先生、言語療法の立場から北海道医療大学の小林先生らが中心に改良を進めているところです。これに併せて、嚥下、会話のアンケート調査もそのアプリの中に入れ、その変化を確認することが出来ます。

現在の組織図は添付ファイルにてお知らせいたします。

何故、「パタカラプラス」DVDを作成しようと思ったのか?

当初は、YouTubeにアップしていくとそれでことが足りると思っていたのですが、毎日の使い勝手を考えるとDVDがあった方が良いという声を多く聞くようになりました。その話をコンテンツグループにご相談したところ、折角なので、新たにDVD用として作り直した方がよいという話になり、作成を行いました。これまでの経緯と併せて、評価アプリのQRコードも入れているので、これもご活用下さい。当初、諸費用で1枚2200円と設定していたのですが、多くの方に利用していただきたいとグループ内から話が出て、ナナイロプロダクションのご厚意もあり、税込みで1100円(送料は別です)にさせていただくことにしました。

 

「パタカラプラス」の最終目標は?

先ずは言語などを含め日常生活を送る上でご不安をお持ちの方々に、実際に個別リハビリなどをすることが難しい場合などにご利用していただき、ご自身の現状把握とともに、歌って踊ることで何らかの効果を実感していただきより良い人生を進める一助になることを目標にしています。そのために、コンテンツの更なる充実を図っていく予定です。更に、ある程度の評価を自動で行うことで、本当に専門的な個別リハビリを進める必要がある方においてはそれをご検討いただく機会になると思っています。更に、今後は、老化やフレイルがご心配の方やこれから言葉などを覚えていく乳幼児にもご利用いただけ得ればと願っています。

 

近藤達郎

添付ファイル:パタカラプラスQ&A